2008.12.26
[ Experience ]
ある月の夜のこと。
いつものように遅い時間の帰宅中。
音楽を聞きながらトコトコと歩いてると、
ビルの中にダッシュで入って行く姿を見たわけでもないが、感じ取れた。
で、そのビルの入り口に目をやると、シャッターが閉まっていた。
あれ?さっき誰か入って行ったなぁと思ったけど、
気のせいかと正面を向こうとした時、
「は!」と気づいて、またビルの入り口に向き直した。
私が「は!」と感じたもの、
それはビルの入り口の角に、隠れるようにしゃがみこむ男。
手にした黒いカバンはナニカを隠すように膝の前にある。
そう彼は全身、、はだか。
彼はスッポンポン。
唯一の救いの黒いカバンで必死にナニカを守っている。
そんな彼と私の目はバッチリあった。
けど、
けど、
見ていなかったんだと自分に思い聞かせて、正面を向き歩き続けた。
正面を向いて、音楽に耳を傾けながら歩くことが自分ができる精一杯の行動。
そのとき、何を聞いていたか思い出せない。
思い出すのは、黒いカバンとは対照的な細身で白い体。
だいぶ歩いて、恐る恐るゆっくりゆっくり振り返ると、
遠くに見えるビルの入り口で、まだなおカバンを大事に持ちつづける彼。
そして、まだこっちを見てる。。
ようやく家について、あの彼を想像する。
あの近辺のいかがわしいお店に入って、やくざがでてきて、慌ててカバンだけ持ち出してきたんやないやろうか?とか、
ある女性が彼と浮気していて、突然旦那が帰って来て、慌ててカバンだけ持ち出してきたんやないやろうか?とか。
それにしても、カバンは持ち出せて服は持ち出せんもんやろか??
謎は深まるばかり。
それにしても、彼とバチリと目を合わした時の、
「裸ですねん。。。」と訴えてくる悲しそうな目が脳裏から離れない。